お金にかえられないなにかを受け継いでいくためにはお金がかかるわけで

http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20051109AT1G0803S09112005.html

官民の競争入札を通じて官業の民間開放と効率化を促す「市場化テスト」の国立博物館・美術館への導入を巡り、平山郁夫東京芸術大学長と美術評論家高階秀爾氏が9日、小坂憲次文部科学相河合隼雄文化庁長官を訪ね、導入に反対する声明を手渡した。
 平山氏は「経済効率だけを追求すれば、文化芸術の衰退につながる」との危惧を表明。小坂文科相は「財政再建は必要だが、合理化には弊害が出ないよう取り組む」、河合長官は「文化が衰退しないよう真剣に努力したい」などと応じた。
 声明は市場化テストについて「展示が流行追求型になる」「調査研究などの長期的取り組みが軽視される」などと指摘。政府内で検討されている国立博物館国立美術館などの統合にも「文化施設の多様性が失われる」と反対している。
 政府の規制改革・民間開放推進会議独立行政法人の事業効率化の一環として、国立博物館などへの来年度からの市場化テスト導入を提言。テストが実施されれば、美術品の収集や展覧会の企画などが民間に委託される可能性がある。

美術館の運営については改善すべき点が多々あるのかもしれないけれども、それでも「美術品の収集や展覧会の企画などが民間に委託される」っていうのはどうなのかな。ひたすら印象派の絵ばかりを見せられるような気がしてしまう。そうなったらちょっといやだ。レストランなんかの館内施設とか館内サービスについては民間委託もありだと思うけれど*1

で、思い出したのがこんな記事。

http://kddi10.asahi.com/culture/entertainment/news/TKY200509280178.html

 エッフェル塔わきで工事が進むフランス国立「ケ・ブランリー美術館」の建設が、06年6月の開館に向け最終段階を迎えた。アフリカやアジアなど、西洋以外の文明や芸術を紹介する。パリの新美術館としては86年に開館したオルセー以来の規模。新たな観光地になりそうだ。
 計1万平方メートルの展示スペースなど、主な構造物はほぼ出来上がった。セーヌ川沿いの一等地であるため、車の通行量が多く、幹線道路とは高さ12メートル、長さ200メートルのガラス製防音壁で隔てる。
 約30万点の所蔵品は、アフリカ、アジア、オセアニア南北アメリカの美術工芸品や装身具、衣料、雑貨など。民俗学的にも貴重な史料が多い。大部分は国立人類博物館などから引き継いだもので、いまは国立図書館の地下倉庫で06年初めの搬入を待っている。
 歴代の仏大統領はそれぞれ大きな文化施設を残してきた。ケ・ブランリー美術館は、非西洋文明に特段の関心を寄せるシラク大統領が建設を決断した。パリの3大美術館が各年代の西洋美術を中心に分担しているのに対し、地球規模の文明に光を当てる。
 名称の「ブランリー河岸」は所在地名。企画段階では原始美術館という通称もあったが、広報担当のアンヌシルビー・カピタニさんは「それは一つの特色だけに注目した呼称で、ルーブルモナリザ美術館と呼ぶようなもの」と話している。

額面どおりに受け取ってはいけないのかもしれないけれど、大統領ごと、っていうのがすごいよなぁ。そういえばオルセーもポンピドゥーセンターもそんな感じで建てられたって聞いたことがある気が(かなり記憶は曖昧)。ポンピドゥーセンターは最近新しく建てなおされたものだったはず。現代美術を中心にしている感じが伝わるかっこいい建物とのこと*2。こんな建物をさくっと建てちゃうところがすごい。オペラ見て芸術好きぶりをアピールしているどこぞの首相もパフォーマンスでおわらせないでほしい。

*1:美術館でランチをゆっくりとるのが非常に好きなので。東京国立博物館は精養軒とオークラのどちらに行くかで迷えるところが更によかった。こないだいったときはオークラだったから次は精養軒。

*2:妹に教えてもらった。確かにかっこいい(http://www.cnac-gp.fr/Pompidou/Accueil.nsf/tunnel?OpenForm