伝えるということはなんにせよ難しいわけで。
- 作者: 大村敦志
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2005/10/25
- メディア: 新書
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そもそも、自分がこの研究者の世界に入ろうと思ったのは、法律学の議論に惹かれたから、なんてことはまるでなく、法律の世界では当たり前とされていることに対して「なんでなの?」と疑問をもったけれどもそれに対して納得のできる明確な答えを見つけられなかったから、というものだった。ということで、やらせてもらえるのであれば、いつかはこの本のような仕事をやってみたいと思っていた。けれど、この本を読んでみてとてもそんな仕事のできる能力のないことを実感。複雑なことを余すところなく易しい表現で伝えるためには、複雑なことを複雑なまま表現する(あるいはしたふりをする)よりも圧倒的に幅広い知識と圧倒的に深い理解とが必要になるわけで。しかも、理論の側から質問を設定するのではなく日常生活の側から質問を設定したうえで理論の側から易しく回答をしめさなければならないわけで。この本は大村敦志先生だからこそ書けたのだろうな。はー、道のりは遠い。